「タダで入れてあげるから録音してよ。」
札幌のある種の音楽好きには良く知られているレコード店店主(小さな巨人)AKBから電話がかかってきたのは、ライブ開始の一時間半前、俺が帰宅中のバスに乗っているとき(正確には、バスの中で電話に出るのはマナー違反なので、バスを降りて俺からかけ直したのだが)だった。我が家に到着するなり、すぐさまマイクをカバンに詰め(詰めるほど大きくはない)、バス停にひきかえす。市の中心部へ向かうバスは、帰宅時に乗ったバスと同じ車両だった。いまだ帰宅ラッシュの時間ではあったが、立錐の余地もないほど混雑するのは下り方向のみで、上り方向の今回は乗客も片手で数えられる程度、全員が座席に座ることが出来た。俺は、車両後部にある二人がけのシートに身を沈め、向かう先で繰り広げられるであろうライブ・パフォーマンスに思いを馳せた。
この文体で最後まで書くのは辛いので、やめます。
U.Washacis。へたギター弾き語り?こういうのは全然聴かないから、説明するための語彙が自分の中にありません。なんつうの?酔いどれ吟遊詩人?そんなのない?ですよねー。決して俺の好みの音楽ではないけれど、表現として誠実な感じはしました。
水玉よしこ。キーボード弾き語りだけど、ピアノ音色を使っていませんでした。dj klockがライブで弾いてたキーボードは、水玉さんのだったらしく、そこでklockがピアノ以外の音色を使っているのに影響されたとか何とか言っていたような気がします。ピアノ音色の時よりも今回の方が好き。なかでもテクスチュアルな歌(というか、ハミング?)の曲が良かったです。
Discharming Man。エビナさんソロ弾き語り。Discharming Manのトラックだけ聴きたいな、と思っていた俺にとって真逆な展開。俺は、基本的には感情的な音楽表現が嫌いなんですけど、あそこまで過剰に感情的だと伝わってくるものがありました。それは、エビナさん自身が演奏後に言っていたように、表現ではなく暴力だったのかもしれませんが、個人的には珍しい体験が出来たから、それでも良いと思いました。エビナさんの歌の力ですね。