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円城塔 / Self-Reference ENGINE

Self-Reference ENGINE
Self-Reference ENGINE
円城 塔
早川書房

単行本


なんだかよくはわからないけど、とりあえず脳が興奮している感覚があるので面白かったんだと思う。少なくとも部分的には、特に前半は面白かった。時間束(=時間線の束)がほどけてこんがらがってもうめっちゃくっちゃになったような設定だけで割とやられる。ほかにも平行宇宙とか超知性体とかなんやかんやとはち切れんばかりに詰め込まれている。作品の形態は連作短編集のようなそうでもないような、一貫性があるような無いような、メタでメタメタでメタ^30だったりするのだけど、本一冊単位での乱痴気具合と、各章単位での乱痴気具合が割と似通っていて、さらに一文単位でも同程度の乱痴気具合を感じられることがあり、そういった意味では非常に一貫していると思う。金太郎飴というよりか、フラクタル。でもまあ、不条理で理不尽な情景を不条理で理不尽なまま不条理で理不尽な文章で書かれたり書かれなかったりするので、苦手な人はとことん苦手そう。人生、宇宙、すべての答えなんてものは存在しないように、そこには書かれていない。んで、この意味不明さは何かに似てるなーと考えたら、本棚にある西島大介のアトモスフィアが目に留まった。ちなみに目に留まったというだけで、両者が似ていると言いたい訳ではない。ただ、無意識的か意識的かSelf-Reference ENGINEの感想を書きながら本棚に目をやったらアトモスフィアに吸い寄せられたということ。