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Ray Bradbury / The Martian Chronicles

火星年代記
火星年代記
レイ・ブラッドベリ、小笠原 豊樹
早川書房
2000/00
文庫


裏表紙に「SF史上に輝く永遠の記念塔!」なんて書かれてますが、確かに素晴らしい作品です。外見はSFなんだけど、中身は哲学・思想書に近いような気がします。殖民思想、機械文明、戦争放棄。深いです。余談ですが、この作品の中では2005年に核戦争が勃発してオーストラリアが消滅、2026年には地球上のあらゆる文明が滅びています。そうならないように願うばかりです。

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Karel Capek / R.U.R.

ロボット
ロボット
千野 栄一、カレル・チャペック、Karel Capek
岩波書店
2003/03/14
文庫


ロボットという言葉が初めて使われた戯曲。ロボットという言葉(概念?)が生まれた時点で既にロボットは反乱を起こすことが決定していたんですね。人類はユートピアを目指していたはずなのに、最終的に辿り着いたのはディストピア。人類滅亡。ロボットの世界。ロボットも滅亡確定済み。あーあ。最後に希望が見えるところが作者の愛なんだろうけど、徹底的に悲惨な結末の方が良かったような気もする。

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James Patrick Hogan / Inherit the Stars

星を継ぐもの
星を継ぐもの
ジェイムズ・P・ホーガン、池 央耿
東京創元社
1980/05
文庫


月の裏側から発見された五万年前の人間の死体の謎を巡る物語。科学の力で一歩ずつ謎を解き明かし、その時点での考えられうる全ての可能性を考慮し、推測し、証拠を探し、道が閉ざされ、各分野でばらばらだった情報を統合し新しい道が開け、進み、止まり、もがき……。多少なりとも研究活動と呼ばれる作業をしていた身としては、なかなかリアリティのある展開でした。まあ、創作ですから多少は強引な展開もありますが、概ね納得できる理論に則って書かれていると思います。なぜ五万年前の月に人間がいたのか、それは地球人なのか、というところから始まっているのに、最終的には現在の人類の出自にまで話が及びます。読み終わってしばらく経っている今、冷静に考えてみると、話を広げすぎという気もしなくは無いですが、読んでいるときは興奮しっぱなしでした。読了直後は感動してしまってしばらく鳥肌たちっぱなし。人間の想像力はどこまでいけるんでしょう。傑作です。

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Stanislaw Lem / SOLARIS

ソラリスの陽のもとに
ソラリスの陽のもとに
スタニスワフ・レム、飯田 規和
早川書房
1977/04
文庫



ソラリスという星の海と、その海を研究している人間の話。海なのに(だから?)生命体。人間には理解不能な海との対話・交渉。謎のほとんどは解明されること無く謎のまま終わりますが、本質はその謎を解こうともがく過程での海(からの使者?)との交流に伴って議論される存在・記憶・アイデンティティとかそこらへんだと思います。進化の終着点、(キリスト教的な意味での)神、とかまで話が及んでいて、SFというより哲学書を読んでるような気持ちにも少しなりました。文章としては、会話シーンのテンポ感が好きです。俺は観たこと無いんだけど、これ、映画「惑星ソラリス」の原作なんですか?映画も見たくなりました。サントラも良いらしいし。

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Fredric Brown / What Mad Universe

発狂した宇宙
発狂した宇宙
フレドリック・ブラウン、稲葉 明雄
早川書房
1977/01
文庫



平行世界もののSF小説。カバー裏の解説には多元宇宙ものと書いてあるけど同じ意味でしょう。ロケットの墜落事故に巻き込まれて平行世界に飛ばされた主人公がすったもんだの大冒険を繰り広げるという物語です。1949年に原著が出版されたもので、今読むとものすごいレトロに感じます。しかし、月探査ロケットが初めて月に到達したのが1959年、初の有人飛行が1961年だということを考えると、随分と時代先取りな小説だったんだなとも思う。かの平行世界では、ミシンで瞬間移動できるらしいですよ。