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西島大介 / 凹村戦争


ハヤカワから出ているマンガ。FADERのマンガ特集に載っているのを見て絵に惹かれて買ったんだけど、中身も中々良かった。高校受験前の中学生が火星人と戦って地球を守るために村を出て行くというような冒険+青春物語!になるはずが、妙に醒めていてネットで情報を探すばかりの男の子や、地球侵略に来た火星人をかわいいと言って抱きしめてしまう女の子がいて、ストレートに盛り上がらない。そこらへんの感覚が現代的だなあと思った。ちなみに、このマンガは星雲賞を取ったらしいんだけど、星雲賞ってSF界ではどれくらいの権威がある賞なの?

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Ted Chiang / Stories of Your Life and Others


テッド・チャンの短編集。というか、今現在における全作品らしい。割とどれも面白かったけれど、表題作「あなたの人生の物語」と「バビロンの塔」は読み終えたとき鳥肌が立ったくらい良かった。特に「あなたの人生の物語」は、文体の意味を理解した瞬間の衝撃度がかなり大きかった。予想の斜め上を行く。どの作品も括るとしたらSFではあるけれど、舞台が神話時代だったり天使が実在する世界だったりして、所謂SFの枠だけには収まらない作家だと思った。次の作品が待ち遠しい。

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Greg Egan / Permutation City



今年になって重版され、やっと読めたイーガンの長編。俺はとても面白く読めたけど、計算機科学やら計算量、最適化、セル・オートマトンなどについて大まかにでもわかっていないと読み難そうな気がする。特に塵理論とかTVC宇宙あたり。塵理論は並行世界に繋がる。どんなノイズでもその断片の順列組み合わせの中には有意なものがある。無数の組み合わせの中には今のこの世界の全てを記述するものがあり、この文章を書かなかった世界を記述するものがあり、俺が生まれていない世界を記述するものがあり、太陽系が存在しない世界を記述するものがあり、…。ここらへんはイーガンの大きなテーマなんだろうな。

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筒井康隆 / 旅のラゴス


たぶん未来の地球以外の星での御話。たぶん地球人が宇宙船で地球を離れて辿り着いた星での御話。地球人がその歴史を通じて育んだ科学・文学・政治などの知識がほとんど失われた世界の御話。知識を失った代わりにいくつかの超能力を身につけた人々の御話。人生は旅のようなものと言うけれど、実際に一生旅し続ける男が主人公の御話。最後も帰るあてのない旅に出て終わる非常にロマンチックな御話。登場人物もみんな曲者というか味があって楽しく読める。一冊の中で細かく章立てされていて、それぞれがある程度独立した話になっているので、中盤あたりの章までなら短編集的な読み方も出来ると思う。スカシウマ。

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Greg Egan / Reasons To Be Cheerful and Other Stories


イーガンの日本オリジナル短編集第二弾。「移相夢」「ボーダーガード」「しあわせの理由」あたりが好き。特に「移相夢」の終わり方が素敵だと思う。謎は謎のまま。「道徳的ウイルス学者」のいかれっぷりも捨てがたい。「愛撫」の芸術家もいかれてるな。いまのところイーガンの作品で面白くなかったのが一つも無いのが凄い。