カテゴリー
未分類

Greg Egan / Oceanic and Other Stories


イーガンの日本オリジナル短編集。よくもまあこれだけ色々考え付くもんだなと感心してしまう。一番最初に収録されているからか「貸し金庫」が非常に印象に残っている。並行世界を裏返して自我を分散コンピューティングしているような話。多重人格の逆ともいえるかな。感動したときに脳と頭蓋骨の間がビリビリするような感覚ってあると思うんだけど、読んでいる間ずっとそんな感じだった。「貸し金庫」のためだけに買ってもいいと思う。ほか特に面白かったのは「ぼくになることを」「誘拐」「無限の暗殺者」かな。スイッチ、スキャン、並行世界。自己を規定する要素はなんなのか。

カテゴリー
未分類

今日泊亜蘭 / 光の塔


1961年SF同人誌に連載され、1962年に刊行された日本のSF古典らしいです。突如現れた謎の光による侵略に立ち向かうという割と良くある話ですが、日本人が書いたSFをそれと意識して読んだのは初めてで割と新鮮な気分でした。読んでいて日本語の良さが体に馴染んで広がる感覚みたいなものがあって、そこは翻訳ものを読むのとは全然違いましたね。まあ、日本語の良さってどんなのよと聞かれても答えられないんですけどね、なんとなく感じる柔らかさと折り目正しさみたいなものです。日本語としての良さもありますが、独自の科学理論などSF的な良さもしっかりあるので、SF好きなら一度は読んだほうが良いと思いますよ。光速に関する理論が大変なことになってます。

カテゴリー
未分類

James P. Hogan / Paths To Otherwhere


はじめに書いておきますが、この文章は全然書評になってません。自分メモ的な文章なので読んでも何にも分からないと思います。ただ、この作品はめちゃめちゃ面白いことだけは確かです。

カテゴリー
未分類

Robert J. Sawyer / The Terminal Experiment


医学SF+ミステリー。厳密な死の瞬間とは?魂と思わしき電磁場の発見?となると宗教は?死後の世界のシミュレーション?肉体を持たない人工生命が犯す殺人?三種類の異なるヴァージョンのシミュレーションのうち犯人はどれか?

SF的妄想もありつつ、話の作り方が凄く上手くて一気に読んでしまいました。この本は、SFとしても読めるし、ミステリーとしても読めるのが凄いと思います。エピローグが、あまりにもキリスト教(というか一神教)的すぎるのが気になりましたが、ま、それは些細なことです。非常に面白い話でした。ソウヤーの他の作品も読みたいです。

カテゴリー
未分類

Stephen Baxter / FLUX


中性子星のマントルに生息する全長10マイクロメートルの人類(?)のお話。話の始まりから既に世界は終わりかけていて、危機を如何に乗り越えるかというような粗筋なのだけれど、話の進め方が凡庸というか、ありきたりな感じでいまいち面白くない。ただ舞台設定が空想の世界であるというだけ。物語の中で一番重要だった問題の解決方法も、なんとなく勢いと運だけでなんとかなっちゃったような印象だった。

どんなに科学技術が発展していても、どんなに過去の話でも、宇宙に進出していてもいいから、地球と大体同じ物理法則の働く世界で、自分と同じ人間が出てくる話じゃないと、話に入り込めない。俺の想像力が足りないのかな。