イーガンの日本オリジナル短編集。よくもまあこれだけ色々考え付くもんだなと感心してしまう。一番最初に収録されているからか「貸し金庫」が非常に印象に残っている。並行世界を裏返して自我を分散コンピューティングしているような話。多重人格の逆ともいえるかな。感動したときに脳と頭蓋骨の間がビリビリするような感覚ってあると思うんだけど、読んでいる間ずっとそんな感じだった。「貸し金庫」のためだけに買ってもいいと思う。ほか特に面白かったのは「ぼくになることを」「誘拐」「無限の暗殺者」かな。スイッチ、スキャン、並行世界。自己を規定する要素はなんなのか。
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今日泊亜蘭 / 光の塔
1961年SF同人誌に連載され、1962年に刊行された日本のSF古典らしいです。突如現れた謎の光による侵略に立ち向かうという割と良くある話ですが、日本人が書いたSFをそれと意識して読んだのは初めてで割と新鮮な気分でした。読んでいて日本語の良さが体に馴染んで広がる感覚みたいなものがあって、そこは翻訳ものを読むのとは全然違いましたね。まあ、日本語の良さってどんなのよと聞かれても答えられないんですけどね、なんとなく感じる柔らかさと折り目正しさみたいなものです。日本語としての良さもありますが、独自の科学理論などSF的な良さもしっかりあるので、SF好きなら一度は読んだほうが良いと思いますよ。光速に関する理論が大変なことになってます。
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