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円城塔 / Self-Reference ENGINE

Self-Reference ENGINE
Self-Reference ENGINE
円城 塔
早川書房

単行本


なんだかよくはわからないけど、とりあえず脳が興奮している感覚があるので面白かったんだと思う。少なくとも部分的には、特に前半は面白かった。時間束(=時間線の束)がほどけてこんがらがってもうめっちゃくっちゃになったような設定だけで割とやられる。ほかにも平行宇宙とか超知性体とかなんやかんやとはち切れんばかりに詰め込まれている。作品の形態は連作短編集のようなそうでもないような、一貫性があるような無いような、メタでメタメタでメタ^30だったりするのだけど、本一冊単位での乱痴気具合と、各章単位での乱痴気具合が割と似通っていて、さらに一文単位でも同程度の乱痴気具合を感じられることがあり、そういった意味では非常に一貫していると思う。金太郎飴というよりか、フラクタル。でもまあ、不条理で理不尽な情景を不条理で理不尽なまま不条理で理不尽な文章で書かれたり書かれなかったりするので、苦手な人はとことん苦手そう。人生、宇宙、すべての答えなんてものは存在しないように、そこには書かれていない。んで、この意味不明さは何かに似てるなーと考えたら、本棚にある西島大介のアトモスフィアが目に留まった。ちなみに目に留まったというだけで、両者が似ていると言いたい訳ではない。ただ、無意識的か意識的かSelf-Reference ENGINEの感想を書きながら本棚に目をやったらアトモスフィアに吸い寄せられたということ。

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ラギッド・ガールとグラン・ヴァカンスの内容には触れない感想

ラギッド・ガールを読んでからグラン・ヴァカンスを読んだら、初めから色々と分かりすぎた状態で読むことになり少々残念な気持ちになる部分もあった。何も分からないままで先ずはグラン・ヴァカンスを読んだ後で、ラギッド・ガールを読んで「なるほど」となるほうが良いのではないかな。あ、でも数値海岸に絡んだ時系列順ではラギッド・ガール>グラン・ヴァカンスなので、これはこれで良い順番で読めたと思う。長編三部作のうちのグラン・ヴァカンスが第一長編で、ラギッド・ガールが第一中短編集。この二冊だけでは、作者があとがきにも書いているとおり、全然解き明かされていない謎がてんこもり。早く続きを読みたい。

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90年代SF傑作選(下)

90年代SF傑作選〈下〉
90年代SF傑作選〈下〉

早川書房

文庫


イーガンのルミナス目当てに買ったのだけど、ほかにも面白い作家が多くて得した。短いけれど一番ぐっときたのはロバート・リード「棺」。夢があって良い。遺伝子操作ネタとか人体改造ネタの作品を読むと、SFは科学用語を使って空想で書かれた哲学・思想書だと思えてしまう。俺はSFの科学的空想も好きだけど、そういう思弁的な部分も好きだな。

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椎名誠 / 武装島田倉庫

武装島田倉庫
武装島田倉庫
椎名 誠
新潮社

文庫


いきなりわけのわからない面接が始まり、あっという間に終わり、倉庫で働き始める。けど、なんか変な世界。日本ぽいけど日本じゃないかもしれない。や、でも島田倉庫だから日本か。と、こんな感じでわけのわからないままわけのわからない世界に生きている人達の物語が数編収められている。読んでいるうちに全ての話はどこかで繋がっていることが分かってきて、なんとなくこの世界のことが掴めそうな気がしてくる。けれどやっぱりわからないまま終わってしまう。「捨造」と「づる」は、BLAME!に出てきた名前だね。弐瓶勉はここから名前を拝借したんだろな。わけのわからないまま始まって説明しないこととか、漢字の使い方とか、BLAME!に通じる部分が多い。BLAME!ファンにはお勧め。

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ロバート・A・ハインライン / メトセラの子ら

メトセラの子ら
メトセラの子ら
ロバート A.ハインライン
早川書房

文庫


遺伝的に長命(200年以上!)な人間と、相対的に短命な普通の人間が出てくるお話。前半は、長命の原因が遺伝以外の何らかの技術だと信じている短命人種が長命人種からありもしない秘密を引き出そうとして、長命人種は宇宙船を強奪して太陽系外へ脱出するまで。後半は、太陽系から脱出した長命人種が幾つかの地球型惑星の原住民と交流しながら宇宙をさまよい、最終的には地球に戻るまで。面白かったけど、前半だけで終わった方が切りが良かったと思う。原著は1958年発行で、日本では76年発行。台詞の訳がなんだか柔らかくて、内容よりそっちに惹かれたな。